2024.2.24熊本のミニシアターDenkikanにて、夢みる小学校完結編の上映後トークセッションが行われました。昨年、春にはZOOM参加だったオオタヴィン監督でしたが、今回はこの完結編をひっさげて熊本に立ち寄られました。
昨年制作された第1作目とこの完結編の違いはどこにあったのか。
1作目で登場した南アルプス子どもの村の小学生たちのその後を追い続け、中学校を卒業するタイミングで「きのくに」での学びを振り返るシーンが描写されていることが大きな違いのひとつでした。
卒業生のことばで印象的だったのが、これから先、どんなことでもできる気がするという言葉でした。きのくにでの生活を通して培ってきた自信。それは「あれはだめ、これはだめ」という管理や制限の教育ではなく、「最後の責任は大人がとるから、失敗をおそれず自由にやっていい」という安心感、肯定感に包まれて過ごしてきたことによって、彼女の中に育まれてきたものなのだろうと、映画を観た人は理解したことでしょう。
1作目でのびのびと学校生活を送っていた子ども達が、3年後、きのくにを去り、社会に旅立つにあたって、この子達なら社会に何か大きな変化をもたらしてくれる!そんな確かな力を培っている、きのくにのような自由な教育もありなんだというメッセージが込められていました。
完結編が発しているもうひとつの大きなメッセージが、日本の未来のために、大人達よ、行動を起こそう!ということでした。1作目を観た愛媛県松山市立 余土小学校の上野直記校長は、自校で夢みる小学校の上映会をおこないました。公立学校の校長先生が、公立学校とは真逆とも思える夢みる小学校のあり方に賛同することはあるでしょうが、その上映会を自校で開催するとなると、立場上、想像もつかないような決断力を要するはずです。実は全国各地で、日本の学校教育を何とかしなければという熱い思いに駆られた人々による自主上映会が行われています。
こうした草の根の行動がやがて、自由な教育でも、いな、自由な教育でこそ、次代を担う力を持った子どもは育つという価値観が一般化し、日本の学校教育に多様な選択肢を生み出すものと信じます。オオタヴィン監督が、このフィルムに込めた最大のメッセージは「子ども達の未来のために、目覚めた大人達よ、ともに行動を起こそうよ」ということなんだと思うのです。
人は頭で「教育を変える必要がある」と理解しただけでは、行動を起こせません。ではどんな時に人は行動を起こすのか、それはなにかの縁に触れて、感情で心が震えたときなのです。このフィルムを観た人はみな、心が震えたと思います。ヴィン監督は昨年、言いました。「この映画館を出た瞬間から、それは始まるのです」と。
さあその感動をもって自分の手の届く半径5mの範囲内から行動を起こしましょう。
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